設計するということ

設計とは、様々な、時には矛盾する要素に秩序を与え、ひとつの形にまとめあげることです。

 

さらに、もっと深い意味でいうなら、物の在りようをデザインすることだとも言えます。そこには絵画や彫刻と同じように芸術性が存在します。

ただし住宅の設計が彫刻などと違うのは、施主との共同作業によるというところです。

 

住宅の設計者は“住み手の想い”や“場所が要求する形”を“建築の言語”に翻訳して表現してゆきます。

ある種、代理表現であって、間違っても独りよがりの自己表現ではありません。少なくとも私は、そういう考え方で仕事をしています。

これは、店舗やその他の設計についても変わりありません。

 

 

職人という生きざま

日本には世界に誇れる伝統的職人技術があります。

それは決して大量生産の中からは生まれてこない深い文化を蔵しています。

 

職人、というのは一つの生きざまです。

そう呼ばれる時、その人は決してただの作業員ではありません。

歴史を背負い、秀でた技を持ち、自らの仕事に誠実に向き合い続ける。

そんな職人気質な人も今ではずいぶん少なくなりましたが、しかし、いなくなってしまった訳ではありません。

 若手の中にだっています。 彼らは“いい仕事”の機会を求め続けています。

そんな職人たちと共に、心をこめて、手をかけて家をつくる、というのはとても贅沢な豊かさだろうと思います。

 

けれど、それは決して高額な家のことではありません。予算がないからとあきらめる必要はありません。それは施主となるあなた自身の心構えひとつで可能になるのです。

そしてそれが、未来に向けて日本の優れた職人文化を育み続けてゆくことにもつながってゆきます。

環境問題と家づくり

環境問題は今や待ったなしです。私はかなり強い危機感を持っています。百年もつ住宅を作っても、百年後にはそこに住んでいる人がいないかもしれない・・・・・。

温暖化問題にせよ、海洋プラスチック問題にせよ、つまるところ「環境問題」とはゴミ問題のことです。

 

建築現場はゴミだらけです。

家をつくるということは、日本中の(ひょっとしたら世界中の)あらゆるところから資材を集めてきて(その為に排出されるCO2の量は!) それを1つの敷地で組み立てるということです。

組み立てる過程で出る端材や梱包材もすべて廃棄物です。その廃棄物の中で自然に循環しないものやリサイクルできないものがゴミです。

 

ゴミを少なくするためには、できるだけ自然素材を使うことです。

CO2の排出を減らすには、できるだけ近くの素材を使うことです。エネルギーを使わない工法を選択することです。

それから、家が取り壊される時にもそれは大量のゴミになります。もし、20年や30年で立て替えたりせず、しっかりしたものを作って2世代くらいは住むようにすれば、それだけでゴミもCO2も半減します。「モノ」ではなく、「仕事」にお金をかけるのです。

 

そもそも、どんな「モノ」も最初は自然界からの略奪である以上、「モノ」をたくさん手に入れようということを続けていれば、地球の環境はあっという間に人が住めないものになってしまうでしょう。「モノをより多く手に入れること」が豊かさではないと思います。

「環境」は人類自身の存在基盤です。

シロクマが絶滅することは、ただ単に北極にクマがいなくなるということとは違います。家をつくるとき地盤を気にするように、私たち自身の存在基盤のことにも想いをはせてみてください。

(sou)空間設計 横地 義正


        施主さん募集

草空間設計では、次のようなプロジェクトに応じていただける施主さんを募集しています。「仲間」として一緒に楽しくやれる方、歓迎します。

 

A. 伝統構法の家

        今では本当に数が減ってしまった一流の職人さんたちと一緒に作る伝統の技をふんだんに使った家

 

B. 自立する家

  大規模システムにぶら下がることなく、エネルギー、水、食料などを一定程度自給自足できる災害に強い家

 

C. 自然に還る家

       可能な限り自然界に循環する素材だけで造る家